シルデナフィルとは|作用機序・使い方・バイアグラとの違い

佐藤 健一(泌尿器科専門医)
この記事の監修
佐藤 健一(泌尿器科専門医)
泌尿器科/日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

公開日: 最終更新日:

シルデナフィルとは、ED(勃起不全)治療薬「バイアグラ」の有効成分(一般名)です。PDE5という酵素の働きを抑えて陰茎の血流を保ち、性的刺激があるときに勃起を得やすく・維持しやすくします。バイアグラが製品名であるのに対し、シルデナフィルは成分名で、この成分を含むジェネリック医薬品は「シルデナフィル錠」として国内でも処方されています。日本では市販されておらず、入手には医師の処方が必要です。

「バイアグラの成分って結局なに?」「シルデナフィル錠って書いてあるけど、バイアグラと同じ?」——ED治療薬を調べていると、必ず出てくるのがシルデナフィルという言葉です。名前が難しく、表記もさまざまで混乱しがちですが、仕組みを知れば理解はぐっとシンプルになります。このページでは、シルデナフィルとは何か、バイアグラとの関係、作用の仕組み、使い方、ジェネリックや通販の注意点まで、医師監修のもとで整理して解説します。

シルデナフィルとは(一般名・有効成分)

シルデナフィル(sildenafil)は、PDE5阻害薬と呼ばれるED治療薬の有効成分です。正確には「シルデナフィルクエン酸塩」という形で製剤に含まれています。米国ファイザー社が開発し、1998年に世界初の経口ED治療薬「バイアグラ」として承認されました。日本では1999年に発売され、現在も広く使われています。

ここで押さえておきたいのが、「シルデナフィル」は成分の名前(一般名)であるという点です。薬には「一般名(有効成分の名前)」と「製品名(メーカーがつけた商品名)」の2つがあり、シルデナフィルは前者、バイアグラは後者にあたります。医療現場では成分名で処方されることも多く、「シルデナフィル錠50mg」といった名称で目にすることになります。

この記事のポイント

  • シルデナフィル=有効成分(一般名)、バイアグラ=製品名(先発品)
  • PDE5という酵素を抑え、性的刺激があるときの血流を助ける
  • 同じ成分のジェネリック(シルデナフィル錠)が国内で処方されている
  • 日本では市販不可。通販・個人輸入は偽造品リスクが高く非推奨

バイアグラとの違い(先発品と成分名)

「シルデナフィルとバイアグラは何が違うの?」という疑問はとても多いのですが、答えはシンプルです。中身の有効成分は同じで、呼び方の立場が違うだけです。バイアグラは、シルデナフィルという成分を最初に製品化した先発医薬品(ブランド薬)です。特許期間の満了後には、同じ有効成分を含むジェネリック医薬品が各社から発売され、これらは製品名ではなく成分名を用いて「シルデナフィル錠『◯◯』」のように呼ばれます。

シルデナフィルとバイアグラ(先発品・成分名)の関係
項目バイアグラ(先発品)シルデナフィル錠(ジェネリック)
名称の立場 製品名(ブランド名)一般名(有効成分名)
有効成分 ○ シルデナフィル○ シルデナフィル(同じ)
メーカー ファイザー社各後発品メーカー
価格の傾向 △ やや高め○ 抑えめのことが多い
入手 要処方要処方

つまり「バイアグラ」も「シルデナフィル錠」も、どちらもシルデナフィルを飲んでいることに変わりはありません。違いは主にブランドと価格です。ジェネリックの詳細はバイアグラのジェネリックで、バイアグラそのものの全体像はバイアグラとはで解説しています。

作用機序:PDE5を阻害する仕組み

シルデナフィルがどのように働くのかを、順を追って見ていきましょう。性的な刺激を受けると、陰茎の海綿体では一酸化窒素(NO)が放出され、これをきっかけにcGMPという物質が増えます。cGMPは血管の平滑筋をゆるめて血流を増やし、勃起を起こします。ところが体内にはPDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素があり、このcGMPを分解して勃起を鎮める方向に働きます。

シルデナフィルは、このPDE5の働きを選択的に阻害します。cGMPが分解されにくくなることで血流が保たれ、勃起を得やすく・維持しやすくなる——これがシルデナフィルの作用機序です。重要なのは、あくまでNOの放出(=性的刺激)が出発点だという点で、刺激がなければ薬だけでは効果は現れません。

性的刺激→ NO放出 cGMP増加血管平滑筋弛緩 PDE5cGMPを分解 シルデナフィルが阻害 血流増加→ 勃起 PDE5阻害薬のはたらき ※ 性的刺激がないと効果は現れません
図:シルデナフィルはPDE5を阻害し、cGMPを保つことで血流を増やす(性的刺激が前提)

この仕組みは「勃起のきっかけを作る」のではなく「勃起を助ける・維持する」ものです。だからこそ、リラックスした雰囲気や十分な性的刺激が、効果を実感するうえで欠かせません。

使い方・飲むタイミング

シルデナフィルの効果を引き出すには、飲み方が大切です。基本は「性行為の約1時間前」「空腹時」「水またはぬるま湯で」服用します。空腹時であれば、服用後およそ30分〜1時間で効き始め、効果は4〜5時間ほど持続します。

  1. 性行為の約1時間前を目安に1錠を服用する
  2. できるだけ空腹時に飲む(食後、特に脂っこい食事の後は吸収が遅れる)
  3. アルコールは少量まで。飲みすぎは効果を弱め、血圧低下のリスクも
  4. グレープフルーツ(ジュース)は血中濃度を上げるため避ける
  5. 服用は1日1回まで。24時間以内の再服用はしない

「効かなかった」と感じるケースの多くは、飲み方に原因があります。食後すぐの服用性的刺激の不足は代表的な例です。1回で判断せず、正しい飲み方で試すことが大切です。詳しくは飲み方・タイミング食事・アルコールの影響をご覧ください。

25mg・50mgの用量の目安

シルデナフィル(ED治療用)の用量は、一般に25mg・50mgが中心です。国内の先発品バイアグラは25mgと50mgが用意されており、ジェネリックのシルデナフィル錠では50mg・100mgなども流通しています。用量は効果と副作用のバランスを見ながら、医師が体質や持病をふまえて判断します。

シルデナフィルの用量の目安(実際の処方は医師が判断します)
用量主な位置づけ備考
25mg 低用量・初回や高齢の方向け副作用が心配な場合の出発点になりやすい
50mg 標準用量多くのケースで最初に検討される
100mg 高用量(主にジェネリック)自己判断で増量しない。医師の指示のもとで

「効きが弱いから」と自己判断で増量するのは危険です。用量が増えると副作用(頭痛・ほてり・血圧低下など)のリスクも高まります。増減は必ず医師に相談してください。用量の選び方は用量ページで詳しく解説しています。

シルデナフィル錠(ジェネリック)

バイアグラの特許満了にともない、同じ有効成分を含むジェネリック医薬品(シルデナフィル錠)が国内でも複数のメーカーから発売されています。有効成分と含有量が同じであれば、期待できる効果は基本的に同等で、価格が抑えられていることが大きなメリットです。

一方で、海外の個人輸入サイトで見かける「カマグラ」などの製品は、日本の承認を受けていない未承認薬であり、品質が保証されていません。安さだけで選ぶと、偽造品や成分量のばらつきといったリスクを抱えることになります。ジェネリックを検討する場合も、医療機関で処方される正規のシルデナフィル錠を選ぶのが安全です。詳細はバイアグラのジェネリックで解説しています。

シルデナフィルの通販・個人輸入の注意

「シルデナフィル 通販」「シルデナフィル 個人輸入」と検索すると、処方箋なしで購入できるとうたうサイトが多数見つかります。しかし、これらの多くは海外からの個人輸入であり、大きなリスクをともないます。

シルデナフィルの主な入手ルート
ルート合法性安全性コメント
医療機関で処方 ○ 合法○ 高い診察のうえ正規品を入手できる
オンライン診療 ○ 合法○ 高い自宅で完結・プライバシー配慮
市販(薬局等) × 不可日本では販売されていない
海外通販・個人輸入 △ 自己責任× 低い偽造薬・健康被害のリスク大

個人輸入の危険性

海外通販のED治療薬は偽造品の割合が高いことが各国の調査で報告されています。有効成分が入っていない、量が多すぎる、不純物が混ざっているといった例もあり、健康被害や重大な副作用につながるおそれがあります。また、診察を受けないと硝酸薬との併用禁忌などの重要なチェックが抜け落ちます。詳しくは通販・個人輸入のリスクをご覧ください。

シルデナフィルは医師の処方で

安全に使うには医師の診察が欠かせません。通院が難しい方は、自宅で相談できるオンライン診療という選択肢もあります。

オンライン診療で相談する

表記ゆれ(シルディナフィル等)と豆知識

「シルデナフィル」は名前が難しいため、検索の際に「シルディナフィル」「ジルデナフィル」「シルデナヒル」「しるでなふぃる」などさまざまに表記されます。また「バイアグラ 成分」「ばいあぐら 成分名」といった調べ方をされることもありますが、いずれも同じ有効成分「シルデナフィル」を指しています。正しい表記は「シルデナフィル」です。

なお、シルデナフィルは用量や製品名を変えて肺動脈性肺高血圧症の治療にも用いられます。もともと狭心症の治療薬として研究されていた成分が、臨床試験の過程で勃起改善作用が見つかり、ED治療薬へと展開された経緯があります。用途によって適応・用量が異なるため、自己判断での流用は避け、必ず医師の診察を受けてください。ほかのED治療薬との違いを知りたい方は3剤比較もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

シルデナフィルとバイアグラは同じものですか?

基本的には同じ薬と考えて差し支えありません。シルデナフィルは有効成分の名前(一般名)で、バイアグラはその成分を含むファイザー社の先発品(製品名)です。同じシルデナフィルを含むジェネリック医薬品も「シルデナフィル錠」として国内で処方されています。

シルデナフィルは何mgから始めるとよいですか?

一般的には50mgが標準用量で、副作用が心配な方や高齢の方には25mgから始めることがあります。適切な用量は体質や持病によって異なるため、必ず医師の診察のうえで決めてください。詳しくは用量ページで解説しています。

シルデナフィルは通販(ネット)で買えますか?

日本では医療用医薬品のため、正規ルートでは医師の処方が必要です。海外通販・個人輸入では偽造品が多く報告されており、健康被害のリスクがあります。安全な入手方法は処方・オンライン診療をご覧ください。

「シルディナフィル」「ジルデナフィル」は別の薬ですか?

いずれも「シルデナフィル(sildenafil)」の読み違い・表記ゆれで、同じ成分を指します。正しい表記は「シルデナフィル」です。検索では「しるでなふぃる」「バイアグラ 成分」なども同じ内容にたどり着きます。

シルデナフィルを飲めば性欲が高まりますか?

いいえ。シルデナフィルは性欲を高める薬ではなく、性的刺激があるときに血流を助ける薬です。刺激がなければ効果は現れません。媚薬や精力剤とは仕組みが異なります。

シルデナフィルには肺高血圧症の薬もあると聞きました

はい。シルデナフィルは用量や製品名を変えて肺動脈性肺高血圧症の治療にも使われます(別の製品名で処方されます)。ED治療に使われる「バイアグラ/シルデナフィル錠」とは適応・用量が異なるため、自己判断で流用してはいけません。

ばいあぐらとシルデナフィルジェネリックは効果が違いますか?

有効成分と含有量が同じであれば、期待できる効果は基本的に同等です。ジェネリック(シルデナフィル錠)は先発品バイアグラより価格が抑えられていることが多く、費用面のメリットがあります。

参考文献

  1. PMDA(医薬品医療機器総合機構)医療用医薬品 添付文書情報
  2. 厚生労働省 医薬・生活衛生局(医薬品の適正使用・個人輸入に関する注意喚起)
  3. 日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン」
  4. ファイザー株式会社 バイアグラ錠 添付文書・患者向医薬品ガイド

※ 出典は一般に信頼できる公的機関・学会・製薬会社の公開情報に基づいています。最新の情報は各機関の一次情報をご確認ください。